炭鉱のカナリア

館長の散歩道

3月29日に、志村けんさんが新型コロナウィルスによる肺炎で亡くなりました。発症から2週間。あっという間に旅立たれてしまいましたね。常に笑いを求めて生きてきた喜劇人の死に、深い哀しみを感じずには居られません。子どもから大人までを笑いで包んでくれる、まさに喜劇王でした。訃報を聞き、改めて向き合った言葉があります。「役者は炭鉱のカナリアたれ」です。以前、劇団民藝の俳優「米倉斉加年」さんを九州大谷短大に招いて、講話をお願いしたことがあります。米倉さんは、最後に学生たちにこう語りかけました。「昔、炭鉱労働者はカナリアを籠に入れて坑道に入ったそうです。何故なら、カナリアは人間よりも先に有毒ガスの発生を感じて鳴き声を止め、身の危険を知らせてくれるからです。」演劇を志す若者たちに、社会と演劇の関係を敏感に「察知」して創作をしろという、強いメッセージでした。「役者は炭鉱のカナリアたれ!」一刻も早い収束を皆で力を合わせて目指しましょう!