見えないものが見えてくる

館長の散歩道

随分前の話ですが、福岡県の片田舎に星野村という星がきれいに見えるので有名な村があると知り、子ども達を連れて遊びに行ったことがあります。その村には小さな天文台があって、昼間の星を天体望遠鏡で見せてくれるんだそうです。皆さんは、昼間の星を見たことがありますか?半信半疑で天体望遠鏡を覗いて見ると、なんと空の向こうにダイヤモンドのようなキラキラしたきれいな星が輝いているではありませんか。子どもたちはもちろん大喜びでしたが、その美しさに僕も思わす息をのみました。そしてその時、思い出したのが金子みすゞさんの「星とタンポポ」という詩の一節でした。「昼のお星は目に見えぬ 見えぬけれどもあるんだよ 見えぬものでもあるんだよ」 昼の星は目には見えないけれども、ちゃんと空の向こうで輝いて、僕らをずっと見守ってくれているんだという詩ですね。私たちは、気が付くと目に見えるものばかりを必死に追いかけて、見えないものの大切さを忘れかけて来たような気がしてなりません。見えないものが見えてくる。人と人がつながっていることの美しさ、尊さを教えてくれたのが、昼のお星さまでした。