ジベタリアンとオバタリアン

館長の散歩道

1990年代の後半に、コンビニ前の駐車場などで、地面に座ってたむろする若者達が多く見られました。人数はだいたい4,5人ぐらいで、お尻を地面にべたりとつけて話をしている姿です。いわゆるジべタリアンと呼ばれた世代ですね。決して美しい姿とは言えない座り方を、彼らはなぜ好んだのでしょうか。これは推測ですが、彼らは立つことに疲れ果てているという考え方です。かつて四つ足だった人類は、二足歩行ができるようになりました。二本の足で立つことで両手が空いて道具を使えるようになり、脳の容積が格段に増えて進化しました。ただしそれと引き替えに、重い頭蓋骨を含む体重を足の裏で支えて、腰や肩に負担がかかるようになりました。重力に逆らって上に伸びようとする身体と、崩れ落ちて下方に向かう身体が拮抗しているのが人間の立ち方なんですね。ジベタリアンは、頼むから休ませてくれと身体で叫んでいたのかもしれません。話は昭和に遡りなりますが、井戸端会議という言葉をご存じですか?もう死語ですね。昔は買い物かごをぶら下げた近所のおばさん達が噂話で盛り上がり、立ち話を長時間する姿が見られたものでした。話に夢中で、立っている辛さなど忘れているんですね。ちなみにこの人たちは、オバタリアンと呼ばれていました。では、今の若者達はどうでしょうか?町の中で仲間と談笑している姿を見かけることが少なくなりましたね。SNSだけではなく、私たちは対面のコミュニケーションの尊さに、あらためて目を向ける必要があるようです。