フロー現象

館長の散歩道

4年に一度開催するサッカーのワールドカップが、今年はカタールでスタートしました。今でこそ日本代表がワールドカップの予選を勝ち抜けるようになりましたが、30年ほど前までは夢のまた夢、憧れの世界でした。色々なスポーツと同様に、サッカーにも時代を越えて語り継がれる名勝負があります。ドーハの悲劇、マイアミの奇跡等々、挙げ始めたらきりがありませんね。ところで皆さんは、フロー現象という言葉をご存じでしょうか。これまで経験したことがないような研ぎ澄まされた集中力により、人が大きなパワーを手に入れている状態です。アスリートたちは、ゾーンに入るという言い方もしますね。たとえば野球のバッターが、ピッチャーが投げたボールの縫い目が見えたとか、時間が止まったような気がしたなどと言います。サッカーのゴールキーパーがPKを阻止する時に、キッカーの動きやボールがスローモーションのように見えたとも言いますね。スポーツだけではなく、詩人や作曲家、小説家、画家なども、創作した自分の作品を見て、私が描いたとは思えないなどと言ったりします。自分の力を超えた何か大きなものに出会い、突き動かされている時、人は限りなく美しくなれるようです。