子どもの心

いつまでも、子どもの心を持ち続けている大人はカッコいい。僕の尊敬する俳優で演出家の串田和美さんは、80歳を越えた今でも子どもの心を忘れずに、第一線で全国を飛び回っていらっしゃいます。串田さんを一躍有名にしたのが、主宰していたオンシアター自由劇場で1977年に上演した音楽劇「上海バンスキング」の大ヒットでした。六本木の俳優座近くのガラス屋さんの地下を小劇場に改装して、若い演劇人が集まって結成したアンダーグラウンドシアターは、アングラと呼ばれるようになり、一世を風靡しました。そして子どもの心を持った大人たちを束ねていたのが串田さんでした。ある日、仲間たちとのワークショップを終えた参加者たちはそれぞれの家路に帰りはじめました。ところが串田さんはのんびりと構えていて一向に帰る気配がありません。それに気がついた僕は串田さんに声を掛けました。「串田さんはまだ帰らないんですか?」「うん。もう少し遊んでく。」「そうですか。じゃあ、お先に失礼します」「お疲れさん。」串田さんはクラリネットを吹きはじめました。芝居の稽古もクラリネットも、そしてもしかすると生きることも、串田さんには遊びなのかもしれませんね。飄々と生きる串田さんは、まさに子どもの心をもった大人でした。カッコいいです!